35~39条
第4章は、都道府県等の措置に関してその義務などを定めたものであるから、一般の愛犬家や動物取扱業者の行為とは関係が薄い規定である。
第4章 都道府県等の措置等
(犬及びねこの引取り)
第35条
都道府県等 (都道府県及び指定都市、地方自治法第252条の22第1項の中核市(以下
「中核市」という。)その他政令で定める市 (特別Eを含む。以下同じ。)をいう。以下同じ。)は、犬又はねこの引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない。この場合において、都道府県知事等
(都道府県等の長をいう。以下同じ。)は、その人又はねこを引き取るべき場所を指定することができる。
2 前項の規定は、都道府県等が所有者の判明しない人又はねこの引取りをその拾得者その他の者から求められた場合に準用する。
3 都道府県知事は、市町村
(特別区を含む。)の長 (指定都市、申核市及び第1項の政令で定める市の長を除く。)に対し、第1項 (前項において準用する場合を含む。第5項及び第6項において同じ。)の規定による犬又はねこの引取りに関し、必要な協力を求めることができる。
4 都道府県知事等は、動物の愛護を目的とする団体その他の者に犬及びねこの引取りを委託することができる。
5 環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、第1項の規定により引取りを求められた場合の措置に関し必要な事項を定めることができる。
6 国は、都道府県等に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、第1項の引取りに関し、費用の一部を補助することができる。
1.概要
都道府県などは、所有者や拾得者から犬または猫の引取りを求められたときは、その犬または猫を引き取らなければならない。
2.対象者
国、環境大臣、都道府県、都道府県知事、政令指定都市、中核市
3.解説
1)第1項
(1)対象者
都道府県、政令指定都市、中核市、その他政令で定める市
(2)対象動物
本項の場合は、所有者がいる犬及び猫である。
(3)引取りを求める者
犬または猫の所有者である。
(4)都道府県などの対応
都道府県などは、引取りを求められた犬または猫を引き取らなければならない。
(5)引取りの場所
引取りの場所は、都道府県などの首長が指定することができる。
2)第2項
(1)対象動物
本項の場合は、所有者不明の犬または猫である。
(2)都道府県などの対応
同じく都道府県などは、引き取らなければならない。
(3)引取りをもとめる者
拾得者、発見者などである。
3)第3項
(1)協力依頼
都道府県知事は、引き取りに関して市町村長に協力を求めることができる。
(2)対象者
都道府県知事、市町村長
(2)協力依頼内容
①第1項の所有者から求められた犬、猫を引き取る場合の措置。
②第2項の所有者不明の犬または猫を引き取る場合の措置。
③第5項の引取りを求められた場合の措置に関し必要な事項を定める場合の措置。
④第6項の国が費用の一部を補助する場合の措置。?(条文からはこのようになっているが不明である)
4)第4項
(1)引き取り業務の委託
都道府県などは、自ら引取りを行わずに団体や業者に引取りの業務を委託することができる。
5)第5項
(1)引取りに関しての必要な事項
環境大臣は、引取りに関して必要な事項を定めることができる。
☞必要な事項
今のところ無い。
(2)環境省令で定める
環境大臣が環境省令で定める。
環境大臣が定めるのであるから当たり前である。
6)第6項
(1)国の費用補助
国は、都道府県に引き取りにかかる費用の一部を補助することができる。
(2)政令
補助は、政令で定めることが必要である。
(負傷動物等の発見者の通報措置)
第36条
道路、公園、広場その他の公共の場所において、疾病にかかり、若しくは負傷した犬、ねこ等の動物又は犬、ねこ等の動物の死体を発見した者は、すみやかに、その所有者が判明しているときは所有者に、その所有者が判明しないときは都道府県知事等に通報するように努めなければならない。
2 都道府県等は、前項の規定による通報があつたときは、その動物又はその動物の死体を収容しなければならない。
3 前条第5項の規定は、前項の規定により動物を収容する場合に準用する。
1.概要
国民は、公共の場所で疾病、負傷、死体となった動物を見つけたときは所有者などに通報するよう勤めなければならない。
2.対象者
国民、都道府県
4.解説
1)第1項
(1)対象者
国民
(2)どんなとき
公共の場所で疾病、負傷、死体となった動物を見つけたとき
(3)何をするか
通報しなければならない。
(3)通報する相手
所有者が判明しているときは所有者。
所有者が判明していないときは、都道府県知事等。
2)第2項
(1)収容の義務
所有者・都道府県は、通報を受けたらその動物を収容しなければならない。
3)第3項
(1)35条第5項の規定を準用
35条第5項の規定を準用する。
(2)内容
環境大臣は、通報を受けて収容することに関して必要な事項を定めることができる。
☞35条第5項の規定とは
環境大臣は、引取りに関して必要な事項を定めることができる。
☞必要な事項
今のところ無い。
(犬及びねこの繁殖制限)
第37条
犬又はねこの所有者は、これらの動物がみだりに繁殖してこれに適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合には、その繁殖を防上するため、生殖を不能にする手術その他の措置をするように努めなければならない。
2 都道府県等は、第35条第1項の規定による犬又はねこの引取り等に際して、前項に規定する措置が適切になされるよう、必要な指導及び助言を行うように努めなければならない。
1.概要
避妊手術の勧めである。
2.対象者
犬または猫の所有者、都道府県
3.解説
1)第1項
(1)生殖を不能にする手術、その他の措置
飼う予定もないのに繁殖してしまうのを防ぐためである。
生殖を不能にする手術とは避妊手術、その他の措置とはケージ飼いを徹底するなどの措置をとることである。
(2)どのような場合
① みだりに繁殖
乱交してしまうような場合である。
猫の場合、放し飼いがよく見られるのであらかじめ避妊手術をしておく例が見られる。
② 適正な飼養を受ける機会を困難となるおそれ
繁殖の結果、まともな飼養ができなくなる可能性がある場合である。
乱交しても、所有者がまともに飼養できるのであれば本条の適用は無い。
(3)努力規定
努めなければならないである。
2)第2項
(1)本条の趣旨の指導及び助言
都道府県などは、措置が適切になされるよう必要な指導及び助言するように努めなければならない。
(2)どのような機会に
35条で定める所有者が都道府県などに犬または猫の引取りを求める場合である。
引取りの際に、「引き取りますが、今後避妊手術やケージ飼いを徹底してくださいよ」などと所有者に伝えることである。
(3)努力規定
努めなければならないである。
(動物愛護推進員)
第38条
都道府県知事等は、地域における犬、ねこ等の動物の愛護の推進に熱意と識見を有する者のうちから、動物愛護推進員を委嘱することができる。
2 動物愛護推進員は、次に掲げる活動を行う。
一
犬、ねこ等の動物の愛護と適正な飼養の重要性について住民の理解を深めること。
二
住民に対し、その求めに応じて、犬、ねこ等の動物がみだりに繁殖することを防止するための生殖を不能にする手術その他の措置に関する必要な助言をすること。
三
大、ねこ等の動物の所有者等に対し、その求めに応じて、これらの動物に適正な飼・養を受ける機会を与えるために譲渡のあっせんその他の必要な支援をすること。
四
大、ねこ等の動物の愛護と適正な飼養の推進のために国又は都道府県等が行う施策に必要な協力をすること。
1.概要
都道府県知事等は、動物愛護推進員を委嘱することができる。
2.対象者
都道府県知事など
3.解説
1)第1項
(1)動物愛護推進員
都道府県知事等は、動物愛護推進員を委嘱することができる。こととした。
(2)動物の愛護の推進に熱意と識見を有する者のうち
動物愛護団体で活動している人を意図したのであろう。
3)第2項
(1)動物愛護推進委員の活動内容
一
犬、ねこ等の動物の愛護と適正な飼養の重要性について住民の理解を深めること。
二
住民に対し、その求めに応じて、犬、ねこ等の動物がみだりに繁殖することを防止するための生殖を不能にする手術その他の措置に関する必要な助言をすること。
三
大、ねこ等の動物の所有者等に対し、その求めに応じて、これらの動物に適正な飼・養を受ける機会を与えるために譲渡のあっせんその他の必要な支援をすること。
四
大、ねこ等の動物の愛護と適正な飼養の推進のために国又は都道府県等が行う施策に必要な協力をすること。
(協議会)
第39条
都道府県等、動物の愛護を目的とする公益法人、獣医師の団体その他の動物の愛護と適正な飼養について普及啓発を行っている団体等は、当該都道府県等における動物愛護推進員の委嘱の推進、動物愛護推進員の活動に対する支援等に関し必要な協議を行うための協議会を組織することができる。
1.概要
動物の愛護と適正な飼養について普及啓発を行っている団体等の協議会の設置である。
2.対象者
都道府県等、動物の愛護を目的とする公益法人、獣医師の団体、その他の動物の愛護と適正な飼養について普及啓発を行っている団体等
3.解説
1)団体
都道府県等、動物の愛護を目的とする公益法人、獣医師の団体その他の動物の愛護と適正な飼養について普及啓発を行っている団体等
動物の愛護と適正な飼養について普及啓発を行っている団体等のことである。
都道府県等、動物の愛護を目的とする公益法人、獣医師の団体は例示的列挙である。
具体例の公益法人には目的を要求されているので紛らわしいが、目的は問わなくてよいであろう。
何故ならば、都道府県、獣医師会は愛護の目的で設立されてはいないからである。
また、具体例に特定の業者団体を掲げるのは好ましいことではない。
2)協議会の目的
動物愛護推進員の委嘱と活動の支援など推進委員に関するための協議会である。
3)協議会を組織することができる
「できる」と法律で定めなくても、都道府県等は組織したければその権限で勝手に設けることができるのである。
本条の意図として捉えれば、「協議会を組織するといいよ」といったところか。
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