26条
第4節 動物による人の生命等に対する侵害を防止するための措置
(特定動物の飼養又は保管の許可)
第26条
人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物として政令で定める動物(以下「特定動物」という。)の飼養又は保管を行おうとする者は、環境省令で定めるところにより、特定動物の種類ごとに、特定動物の飼養又は保管のための施設
(以下この節において「特定飼養施設」という。)の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受げなければならない。ただし、診療施設
(獣医療法 (平成4年法律第46号)第2条第2項に規定する診療施設をいう。)において獣医師が診療のために特定動物を飼養又は保管する場合その他の環境省令で定める場合は、この限りでない。
2 前項の許可を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書に環境省令で定める書類を添えて、これを都道府県知事に提出しなければならない。
一
氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては代表者の氏名
二
特定動物の種類及び数
三
飼養又は保管の目的
四
特定飼養施設の所在地
玉
特定飼養施設の構造及び規模
六
特定動物の飼養又は保管の方法
七 その他環境省令で定める事項
1.概要
第3章第4節は、特定動物についての規定である。一般の動物についてのものではない。
危険性のある動物を飼おうとする場合には都道府県知事の許可を受けなければならない。
その危険性のある動物は環境省令で定め特定することとした。
それで特定動物というのである。
2.対象者
特定動物を飼養・管理しようとする者
3.解説
1)第1項
(1)特定動物
人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物として政令で定める動物である。
どの動物が害を加える恐れがある動物かは、政令で定めていることとなっているので特定動物という呼称になっている。
一般的にいう危険動物よりも範囲は広いものとなっている。
(2)政令で定める動物「特定動物」
次のとおりに定められている。
☞施行令1条
同別表
(3)1種類1許可
特定動物の種類ごとに、1つの許可を受けなければならない。
複数の種類を1つの許可で取ることはできない。
(4)都道府県知事の許可
都道府県知事の許可を受けなければならない
管轄は、動物を飼育・保管する施設の所在地である。
飼育・保管する者の住所ではない。
(5)許可が不要な場合
獣医師が診療のために特定動物を飼養又は保管する場合その他の環境省令で定める場合には許可は不要である。
獣医師は診療のためであるから本条の許可の対象とはならない。
これと同様の趣旨で非常災害の応急措置などがある。
飼養又は保管の許可を要しない場合を環境省令で次のとおり定めている。
診療のためや非常災害の応急措置など常識的に許可は要らないだろうというものまたは飼育目的がないものが該当する。それを羅列していると考えればよい。
一 診療施設(獣医療法(平成4年法律第46 号)第2条第2項に規定する診療施設をいう。)において獣医師が診療のために特定動物の飼養又は保管をする場合
二 非常災害に対する必要な応急措置としての行為に伴って特定動物の飼養又は保管をする場合
三 警察法(昭和29 年法律第162 号)第2条第1項に規定する警察の責務として特定動物の飼養又は保管をする場合
四 家畜防疫官が狂犬病予防法(昭和25 年法律第247 号)第7条、家畜伝染病予防法(昭和26 年法律第166
号)第40 条若しくは第45
条又は感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10 年法律第114
号)第55 条に基づく動物検疫所の業務に伴って特定動物の飼養又は保管をする場合
五 検疫所職員が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第56 条の2に基づく検疫所の業務に伴って特定動物の飼養又は保管をする場合
六 税関職員が関税法(昭和29 年法律第61 号)第70 条に基づく税関の業務に伴って特定動物の飼養又は保管をする場合
七 地方公共団体の職員が法の規定に基づく業務に伴って特定動物の飼養又は保管をする場合
八 国又は地方公共団体の職員が絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75 号)の規定に基づく業務に伴って特定動物の飼養又は保管をする場合
九 国又は地方公共団体の職員が鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成14 年法律第88
号)の規定に基づく業務に伴って特定動物の飼養又は保管をする場合
十 法第26 条第1項の許可を受けた者が、当該許可に係る都道府県知事が管轄する区域の外において、3日を超えない期間、当該許可に係る特定飼養施設により特定動物の飼養又は保管をする場合(当該飼養又は保管を行う場所を管轄する都道府県知事に、飼養又は保管を開始する3日(行政機関の休日に関する法律(昭和63 年法律第91
号)第1条第1項各号に掲げる日の日数は、算入しない。)前までに様式第13によりその旨を通知したものに限る。)
☞様式13
十一 法第26 条第1項の許可を受けた者が死亡し、又は解散に至った場合で、相続人又は破産管財人若しくは清算人が、死亡し、又は解散に至った日から60 日を超えない範囲内で、当該許可に係る特定動物の飼養又は保管をする場合
十二 動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)の施行の際現に同法による改正前の動物の愛護及び管理に関する法律第16
条の規定に基づく条例の規定により届出をして法第26 条第1項に規定する特定動物の飼養又は保管を行っている者が、改正法の施行の日から1年間(当該期間内に同項の許可に係る申請について不許可の処分があったときは、当該処分のあった日までの間)引き続き当該特定動物の飼養又は保管をする場合(その者がその期間内に当該許可の申請をした場合において、その期間を経過したときは、その申請について許可又は不許可の処分があるまでの間も同様とする。)
(施行規則第13 条)
(6)許可の有効期間
特定動物の種類に応じ、5年を超えない範囲内で都道府県知事が定める。
(施行規則第14
条)
2)第2項
(1)環境省令で定める様式を提出
特定飼養施設の所在地ごとに様式第14 による申請書を提出して行うものとする。
特定飼養施設が3箇所あれば、3つの申請が必要である。
☞様式14
(施行規則第15
条)
(2)記載事項
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては代表者の氏名
二 特定動物の種類及び数
三 飼養又は保管の目的
四 特定飼養施設の所在地
玉 特定飼養施設の構造及び規模
六 特定動物の飼養又は保管の方法
七 その他環境省令で定める事項
Ⅰ 申請に係る特定動物の飼養又は保管を既に行っている場合における当該特定動物の数及び当該特定動物に係る第20 条第3号に規定する措置の内容に係る情報
Ⅱ 法人にあっては、役員の氏名及び住所
Ⅲ 特定動物の主な取扱者
(施行規則15条4項)
(3)環境省令で定める書類
一 特定飼養施設の構造及び規模を示す図面、特定飼養施設の写真並びに特定飼養施設の付近の見取図
二 申請者(申請者が法人である場合にあっては、その法人及びその法人の役員)が法第27 条第1項第2号のイからハまでに該当しないことを説明する書類
(施行規則15条2項)
☞「法第27 条第1項第2号のイからハ」とは
申請者が次のいずれにも該当しないこと。
イ
この法律又はこの法律に基づく処分に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
口
第29条第1項の規定により許可を取り消され、その処分のあった日から2年を経過しない者
ハ
法人であって、その役員のうちにイ又は口のいずれかに該当する者があるもの
三 申請に係る特定動物に既に第20 条第3号に定める措置が講じられている場合にあっては、当該措置の内容ごとに次に定める書類
イ マイクロチップ(国際標準化機構が定めた規格第11784 号及び第11785
号に適合するものに限る。以下同じ。)による場合 獣医師又は行政機関が発行した当該マイクロチップの識別番号に係る証明書
ロ 脚環による場合(鳥綱に属する動物に限る。) 当該脚環の識別番号に係る証明書及び装着状況を撮影した写真
(4)その他必要書類
都道府県知事は、申請者に対し、前項に規定するもののほか必要と認める書類の提出を求めることができる。
(施行規則15条3項)
(5)申請後の手続き
① 許可証
都道府県知事は、法第26 条第1項の許可をしたときは、申請者に対し様式第15 による許可証を交付しなければならない。
(施行規則15条5項)
☞様式15
(施行規則15条5項)
② 許可証の再交付
特定動物飼養者は、許可証を亡失し、若しくはその許可証が滅失したとき又は法第28 条第3項の規定に基づく届出をしたときは、当該許可に係る都道府県知事に申請をして、許可証の再交付を受けることができる。
(施行規則15条6項)
③ 再交付の申請
前項の規定による許可証の再交付の申請は、様式第16
による申請書を提出して行うものとする。
☞様式16
(施行規則15条7項)
④ 許可証亡失の際の届出義務
許可証の交付を受けた者は、その許可証を亡失したときは、書面をもって遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出なければならない。
ただし、規則15条第6項の申請(再交付申請)をした場合は、この限りでない。
再交付の申請をした場合は、当然亡失などが前提になっているからである。
(施行規則15条8項)
⑤ 廃業等の届出
許可証を有している者(第2号に掲げる事由が発生した場合にあっては、相続人、消滅した法人を代表する役員であった者又は破産管財人若しくは清算人)は、次に掲げる事由が発生した場合は、その事由が発生した日(許可を受けた者が死亡した場合にあっては、その事実を知った日)から起算して60 日を経過する日までの間に、許可証をその交付を受けた都道府県知事に返納しなければならない。
一 許可を取り消されたとき。
二 許可を受けた者が死亡し、合併し、若しくは分割し(その許可を受けた者の地位が承継されなかった場合に限る。)、又は解散したとき。
三 第6項の規定により許可証の再交付を受けた後において、亡失した許可証を発見し、又は回復したとき。
(施行規則15条9項)
⑥ 飼養又は保管の廃止の届出
特定動物飼養者は、第14 条の許可の有効期間が満了する前に特定動物の飼養又は保管をやめたときは、様式第17 により、許可を受けた都道府県知事にその旨を届け出ることができる。この場合において、有効期間内にある許可に係る許可証を有している場合は、これを添付しなければならない。
☞様式17
(施行規則第16 条)
2 前項の届出があった場合には、当該届出に係る許可は、都道府県知事が当該届出を受理した日に、その効力を失う。
(施行規則16条2項)
4.罰則
1)次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
一
第26条第1項の規定に違反して許可を受けないで特定動物を飼養し、又は保管した者
二 不正の手段によって第26条第1項の許可を受けた者
三 第28条第1項の規定に違反して第26条第2項第2号又は第4号から第6号までに掲げる事項を変更した者
(第45条)
2)両罰規定
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第44条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
(第48条)
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