25条
第3節 周辺の生活環境の保全に係る措置
第25条 都道府県知事は、多数の動物の飼養又は保管に起因して周辺の生活環境が損なわれている事態として環境省令で定める事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、期限を定めて、その事態を除去するために必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に係る措置をとらなかつた場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
3 都道府県知事は、市町村 (特別区を含む。)の長 (指定都市の長を除く。)に対し、前2項の規定による勧告又は命令に関し、必要な協力を求めることができる。
1.概要
周辺の生活環境が損なわれている事態が生じており、原因が多数の動物を飼養・保管であると認められる場合、都道府県知事はその事態を除去すべき旨の勧告をすることができる。
2.対象者
都道府県知事
3.解説
1)第1項
(1)要件1
多数の動物の飼養又は保管に起因していること
多数飼っていることが必要であり、1頭の動物の鳴き声がうるさい、臭気がするなどは本条の適用とするところではない。
(2)要件2
周辺の生活環境が損なわれている事態が生じていること
同事態として環境省令で定める事態とは、次の要件を満たすことが必要である。
①②両方の要件を満たしていることが必要である。
① 次のどれかに該当するものが、周辺住民の日常生活に著しい支障を及ぼしている場合であること
一 動物の飼養又は保管に伴い頻繁に発生する動物の鳴き声その他の音
二 動物の飼養又は保管に伴う飼料の残さ又は動物のふん尿その他の汚物の不適切な処理又は放置により発生する臭気
三 動物の飼養施設の敷地外に飛散する動物の毛又は羽毛
四 動物の飼養又は保管により発生する多数のねずみ、はえ、蚊、のみその他の衛生動物
即ち、音、臭い、毛、ハエなどの衛生動物である。
② 当該支障が、周辺住民の間で共通の認識となっていると認められること
本来レベルを画一的に設定すればよいのであるが、それができないのでこのような設定とした。
よって、うるさい周辺住民と、うるさくない周辺住民では異なったレベルとなるといえる。
(施行規則第12 条)
(3)期限
勧告をするには、期限を定めなければならない。
いつまでに必要な措置をせよ。との期限である。
期限内に改善しない場合には、次のステップである命令へと移行する。
(4)勧告
その事態を除去するために必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
必要的ではなく、「することができる」のである。
多数の動物の飼養又は保管に起因して周辺の生活環境が損なわれている事態として環境省令で定める事態が生じていると認めるときであっても、勧告・命令の手段を講ずることなく、他の方法で解決することも可能である。
2)第2項
(1)命令の要件
必要な措置をとるべきことの勧告を受けた者が勧告に従わないときである。
(2)期限
期限を定めることが必要である。
期限内に履行しないときは取り消しや罰則の適用を受けることがある。
(3)命令
勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができるのである。
必要的ではなく、「することができる」のである。
動物取扱業者が勧告を受けても事態の除去がなされなかった場合に、命令の手段を講ずることなく、他の方法で解決することも可能である。
3)第3項
(1)勧告及び命令に関し
勧告及び命令の内容をどのようなものとするのがよいかなどについてである。
(2)市町村長の協力
都道府県知事は、勧告及び命令について市区町村の長
(指定都市の長を除く)に対し協力を求めることができる。
現場の状況を把握しているといえるのが市区町村長といえるので協力を求める相手を市区町村長とした。
4.罰則
1)次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。
一
第14条第1項若しくは第2項又は第28条第3項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二
第24条第1項又は第33条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による検査を拒み。妨げ、若しくは忌避した者
三 第25条第2項の規定による命令に違反した者
(第47条)
2)両罰規定
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第44条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
(第48条)
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